甘酒とお粥(ご飯)のカロリーに差はない~なぜ甘酒は甘く感じるのか~

普段、私たちが食べるご飯と甘酒には、どのくらいカロリーや成分の差があるのでしょうか?甘酒はカロリーがご飯より低いと言われていますが、あんなに甘いのに本当なのかと疑問に思われるでしょう。
今回は、『市販甘酒』『甘酒と同じくらいの水分量に調整したお粥』のエネルギーや一般成分を比較しつつ、なぜ甘酒が甘いのかの話をしようと思います。

 

甘酒とお粥、そのカロリーと成分の違い

甘酒とお粥の違い

初めに非常に重要なことをズバリ言ってしまうと、甘酒と御飯(お粥)の水分量を同等にした場合、双方にそれほどカロリーの差がないことをご存知でしょうか?実はあんなに甘い甘酒と甘くないお粥はカロリーもその一般成分も大きな差がなく、いずれもお米という炭水化物を主体とする原材料から作られています。

 

お米の栄養成分の割合は?

僕らが、普段食べている食用米の精米歩合は約90%で、そんな精白米の成分の七割を占めるのが炭水化物です。これは甘酒もお粥も同じ米を原材料としているので大きな差が生まれません。

甘酒とお粥の栄養成分の違い

そして、最初にも言いましたが甘酒もお粥も、水分量を統一した場合、残りの固形分の割合はあまり差がありません。もちろん炭水化物やエネルギー量も大体、同じくらいです。では、なぜ味わいに差が生まれるのでしょうか?

甘酒が甘く、お粥が甘くない理由

お米に蓄えられた炭水化物の形

甘酒やお粥の原材料は、稲から作られるお米です。

お米を始めとする植物は『澱粉』という形で、エネルギー源となる『炭水化物』を貯蔵しています。澱粉とはつまり、人間にとっての脂肪の様なもので、必要な時に澱粉を分解して、エネルギーに変換し、芽して根と草を作る時などに使用します。

そして、この澱粉は、ブドウ糖(グルコース)という糖の塊で出来ています。具体的に言えば、ブドウ糖が鎖のように繋がり、その鎖が丁寧に折りたたまれて収納されているのが、澱粉です。このブドウ糖の鎖の事を、アミロースまたはアミロペクチンと言います。この2つの違いは主に構造の違いだと思っていただければ間違いありません。

料理をする方だとご存知かもしれませんが、お米のウルチ米・モチ米の分け方は、この鎖のアミロース・アミロペクチンの割合で分けられています。アミロペクチン100%のお米をモチ米、アミロース:アミロペクチンが20%:80%位のお米をウルチ米と言います。

甘酒が甘い理由~炭水化物の大きさと、人間の味覚の機能~

甘酒とお粥の炭水化物の大きさの違い

では、この甘い甘酒と甘くないお粥の差は何なのでしょうか?

それは、

・お粥は、澱粉という長い鎖状の炭水化物が沢山ある食べ物

・甘酒は、長い鎖状の炭水化物である澱粉が、麹の酵素で分解されてブドウ糖を始めとする鎖の切れ端の様な短い炭水化物が沢山ある食べ物

という炭水化物というグループにおける鎖の長さの長短の割合の差が、原因になります。

炭水化物の大きさの違いによる人間の味覚での感じ方の差

実は、人間の味覚は小さな物質に対して味を感じるという性質があります。わかりやすい例で言うと、タンパク質を分解してできたアミノ酸は旨味の素というでしょう?澱粉と同じで、タンパク質はアミノ酸が沢山つながった長い鎖で出来ていて、小さく分解されてアミノ酸になると旨味などの味として感じることが出来るのです。

お粥と甘酒の、甘さの差は、炭水化物を構成している鎖の長さの違いによるもので、炭水化物量は同じなのでカロリーは大体、同じなのです。そして短い炭水化物が多い甘酒は甘く感じるのです。

この甘くない炭水化物(澱粉)は、本来は人間の消化管内の消化酵素で小さく分解されて、腸管から吸収されるという流れで僕らの体にとっての栄養素となりますが、甘酒はあらかじめ消化分解してくれている有り難い飲み物なのです。


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